センター紹介Outline

センター長挨拶

2023年4月から、心の発達支援研究実践センターのセンター長を務めることになりました金子一史です。センター長就任にあたりご挨拶を申し上げます。

心の発達支援研究実践センターは、2001年4月に設置された発達心理精神科学教育研究センターを前身としています。2015年に心の発達支援研究実践センターとして名称を変更し、人々のこころと家族や社会における支援の在り方について、研究と実践に取り組んできました。前進となる発達心理精神科学教育研究センターの設置から20年が経ちましたが、この間に日本社会も大きな変化を遂げました。それに伴い、こころを取り巻く問題についての社会の関心と重要性が著しく高まってきた中で、こころの問題は以前にも増してますます複雑かつ多様化しています。これまで心の発達支援研究実践センターは、教育発達科学研究科、医学系研究科、学生支援本部といった学内の機関だけでなく、愛知県や名古屋市など学外の多くの公的機関と連携してきました。さらに近年では、モンゴル国やベトナムにおいて、発達障害のアセスメントツールの開発や専門家の養成を行うなど、国際的な活動を広げています。

今後も、こころの問題を抱えた当事者本人とその家族や社会への支援について、より専門的な知見からの貢献に努めていきたいと考えております。どうぞ今後とも、本センターの活動にご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

2023年4月
心の発達支援研究実践センター長 金子一史

センター概要

心の発達支援研実践センターは、2001年4月に学内共同施設として設置された発達心理精神科学教育研究センターを前身とし、2015年4月1日から、センター名称を「心の発達支援研究実践センター」、分野を「こころの育ちと家族」「こころと社会のつながり」「こころの支援実践」の3分野に変更し、子どもの多様な心理的問題に対する総合的研究と実践を目的としたセンターとして改組されました。センターには、心理発達相談室が併設されていますが、本相談室の歴史は古く1955年から始まります。有料の相談施設及び大学院教育発達科学研究科心理発達科学専攻臨床心理学領域の大学院生の実習施設として、わが国でも有数の歴史と伝統を誇る心理実践の場として位置づけられています。

本センターは、これまで学内連携として「学生支援センター」「附属病院総合周産期母子医療センター/親と子どもの心療科」「減災連携研究センター」などとの研究・実践連携、学外においては、愛知県教育委員会をはじめ、各自治体教育委員会、保健・福祉施設との連携などを行ってきました。特に、海外では、2013年から連携を開始したモンゴル国立教育大学にて、2016年に大学内に共同発達支援センターを設置するに至り、当センターが有している心理発達相談室をモデルにした、モンゴル国では初めての相談室として運用が行われるなど、アジア地域との連携も広がってきています。

今後も、当センターのミッションである、妊娠から青年期に至るまでの心の問題の解明や支援方法の開発をより多角的に推し進めていくために、他領域・他部局・海外の研究機関との共同研究を強化し、社会のニーズにあわせた人材の育成と、心の発達支援の研究拠点として発展をしていきたいと思っています。


こころの育ちと家族分野

子どものこころの健康な発達には、受精前後からの家族のあり方や出生後の家族関係などが大切な要因の一つとなります。本分野では、健康なこころの発達に重要な早期家族関係について研究し、さらに生涯を見据えた継続的な支援実践を行っています。特にリスクを持って生まれてきた赤ちゃんの子どもの育ちや、虐待を予防する家族支援の在り方、発達障害の子ども達の発達を支える家族支援の在り方など、こころの育ちとそれを取り巻く家族を中心とした環境について研究をすすめています。

担当教員:永田雅子 教授金子一史 教授、(兼)高橋義行 教授、(兼)佐藤義朗 病院准教授、(兼)城所博之 助教


こころと社会のつながり分野

本分野では、主に児童・思春期を対象とした子どものこころの問題として不登校、情緒障害、発達障害、非行、など多様な問題の解明と支援実践を行っています。また、こころとこころを取り巻く環境(集団、社会、時代)との関連を研究し、子どものこころの健康にとってよりよい環境についても研究しています。海外との比較共同研究を通して、日本の文化・社会における子どものこころの健康とは、といったよりグローバルな視点からも研究をすすめています。

担当教員:野村あすか 准教授酒井麻紀子 講師野邑健二 特任教授横山佳奈 特任助教


こころの支援実践分野

本分野所属教員は、主に学生相談に従事しています。学生相談総合センターと連携し、学生支援と同時に青年期のこころの問題の解明と支援に関する研究を行っています。最近のトピックとして、発達障害圏内学生の学内支援システムに関する研究に力を入れるなど、こころの健康にとってより良い環境について研究、実践しています。

担当教員:鈴木健一 教授杉岡正典 准教授工藤晋平 准教授竹本美穂 助教林陽子 助教、(兼)古橋忠晃 准教授、(兼)長島渉 助教


東海国立大学機構 発達障害児支援研究コンソーシアム

(ア) 東海国立大学機構に所属・関係する発達障害に関する研究者により構成される

(イ) 発達障害児支援研究に関する学際的な共同研究の発展や、専門的な情報発信を通じて、学術、地域、国際的な観点での社会貢献を追求することを目的とする

(ウ) 事務局は、名古屋大学心の発達支援研究実践センター発達障害児支援プロジェクト室に置く

名古屋大学岐阜大学
心の発達支援研究実践センター教育学部・学校教育教員養成課程・学校教育講座
永田雅子、野邑健二、横山佳奈別府哲
大学院・情報学研究科・心理・認知科学専攻教育学部・学校教育教員養成課程・特別支援教育講座
平井真洋平澤紀子、村瀬忍
大学院・医学系研究科・総合保健学専攻工学部・電気電子・情報工学科
五十嵐剛、佐野美沙子寺田和憲
医学部附属病院・親と子どもの心療科
高橋長秀、加藤秀一
心の発達支援研究実践センター/学生支援本部アビリティ支援センター
工藤晋平

海外協力分野

本センターではこころの健康な発達に関する海外との共同研究を行っています。最近では、子どもを取り巻く学校環境や地域環境と心の健康に関する共同研究やネット利用と心の健康に関する共同研究を主に北欧圏と行っています。またアジア圏ではモンゴル国との特別な支援を要する子どもに関する共同研究を行っています。こうした、海外と日本との比較研究を通して、日本特有の子どもの心の特徴や支援のあり方についてより詳細な研究を行っています。
こういった海外との研究協力をより有効に実現するため、毎年海外の研究者を1~数名、客員教員として招き、研究、教育等で協働しています。


上記の4分野および心理発達相談室は相互に連携し合い、子どものこころの健康な発達とその支援に関する包括的な知見を社会に積極的に発信しています。

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