担当教員Faculty
こころの育ちと家族分野
発達障害と母子の関係性支援を専門としています。周産期医療・母子保健・子育て支援など臨床現場での新生児期~乳幼児期の子どもたちの発達支援と家族への支援のあり方を主な研究テーマとしています。特に周産期領域では、周産母子センター(NICU)を中心として、生まれてきた(生まれてくる)赤ちゃんにリスクを抱えている家族への支援とそのフォローアップに長年携わってきており、様々な職種と連携を取りながら、全国的な体制の構築にも取り組んできています。
それ以外にも、地域と連携をし、家族背景や子どもの発達のアンバランスさなど何らかのリスクをもった家族と子どもへの早期介入プログラムの構築や、乳児院でのこころのケアなども行っています。親子の関係が築かれていく過程は、母親自身の要因(育てられ体験や妊娠・出産過程での傷つきなど)と、子ども自身の要因(未熟性やもって生まれてきた個性、発達のアンバランスさなど)そして、親子を取り巻く場の要因が複雑に絡み合いながら進んでいきます。そして時にはお互いの要因が絡み合って、関係が悪循環に陥ってしまうこともあります。子どものこころを育て、親と子の関係性を支援していくためのあり方を、主に周産期から乳幼児期に焦点を当てて、研究と臨床をおこなっていきたいと考えています。
これまで、乳幼児期の母子だけではなく、児童期~思春期の子どもたちやそのご家族、そして発達障害の子どもたちへの支援を幅広くおこなってきました。これからも、関連領域の他職種と幅広く連携をとりながら、親と子の心理的支援のあり方について考えていきたいと思っています。
主要論文・著作
- Nagata M, Nagai Y, Sobajima H, Andou T, Nishide Y, Honjo S.
- Maternity blues and attachment in mother of full term normal infants. Acta Psychiatrica
- Scandinavica 101 209-217 2000
- Nagata M, Nagai Y, Sobajima H, Andou T, Nishide Y, Honjo S.
- Depression in the early postpartum period and attachment to children in mothers of NICU infants.
- Infant and Child Development 13 93-110 2004
- 永田雅子他編著 “いのち”と向き合うこと・“こころ”を感じること ナカニシヤ出版 2013
- 永田雅子・佐野さやか・石井朋子 自閉スペクトラム症が疑われる児を対象とした早期育児支援教室の効果の検討―母親の育児ストレスおよび抑うつに焦点を当てて 小児の精神と神経 55(3) 206-216 2015
- 永田雅子他編著 心理臨床における多職種との連携と協働―つなぎ手としての心理士をめざして
- 岩崎学術出版 2015
- Nagai Y, Nomura N, Nagata M, Ohgi O, Iwasa Y. Children’s Perceived Competence Scale:Reference values in Japan. J Child Health Care Online 2015
- 永田雅子 周産期における親と子の関係性支援~NBASによる臨床介入から~日本児童青年精神医学会雑誌 児童青年精神医学とその近接領域 56(4), 528-532, 2015
- 永田雅子編著 別冊発達 妊娠・出産・子育てをめぐるこころのケア ミネルヴァ書房 2016
- 永田雅子著 乳幼児 育ちの気になる子どもを支える 明石出版 2016
- 永田雅子著 新版 周産期のこころのケア-親と子の出会いとメンタルヘルス 遠見書房 2017
現在は、以下のテーマに取り組んでいます。1つめは、母親から乳児への絆(Bonding)に関する妊娠期からの縦断研究です。産後に子育てに困難を抱えている養育者に対して、どのような援助が効果的なのか、総合病院産科および市町村保健センターと協同して、追跡研究を行っています。
2つめは、児童期青年期のメンタルヘルスに関する国際共同研究です。自傷行為やいじめなどの児童青年期の心理的問題とその関連要因について、フィンランドTurku大学のSourander教授と共に、世界17ヶ国の研究者とのグループ The Eurasian Child and Adolescent Mental Health Study (ECAMHS)を結成して、国際共同比較研究を行っています。
主要論文・著作
- Nakano, M., Sourander, A., Luntamo, T., Chudal, R., Skokauskas, N., & Kaneko, H. (2020). Early risk factors for postpartum depression: A longitudinal Japanese population -based study. Journal of Affective Disorders, 269, 148-153.
- Upadhyaya, S., Chudal, R., Luntamo, T., Sinkkonen, J., Hinkka-Yli-Salomaki, S., Kaneko, H., & Sourander, A. (2019). Parental Risk Factors among Children with Reactive Attachment Disorder Referred to Specialized Services: A Nationwide Population-Based Study. Child Psychiatry and Human Development, 50(4), 546-556.
- Nakano M, Upadhyaya S, Chudal R, Skokauskas N, Luntamo T, Sourander A, Kaneko H. (2019). Risk factors for impaired maternal bonding when infants are 3 months old: a longitudinal population based study from Japan. BMC Psychiatry, 19, 87.
- Maezono J, Hamada S, Sillanmäki L, Kaneko H, Ogura M, Lempinen L, Sourander A. (2019). Cross-cultural, population-based study on adolescent body image and eating distress in Japan and Finland. Scandinavian Journal of Psychology, 60(1), 67-76.
- Hamada, S., Kaneko, H., Ogura, M., Yamawaki, A., Maezono, J., Sillanmäki, L., Sourander, A., & Honjo, S. (2018). Association Between Bullying Behavior, School Safety, and Self-Cutting: A Japanese Population-Based School Survey. Child and Adolescent Mental Health, 23(3), 141-147.
三谷 真優 特任助教
MITANI Mayu
心の発達支援研究実践センター こころの育ちと家族分野 特任助教
これまで発達障害のお子さんやご家族の方の支援を行ってきました。困っていること、わからないことが違う中で一人一人にあったサポートの方法を考えていきたいと思っています。研究は超早産児を対象に、社会性の発達、主に視線の選好に関心を持って取り組んでいます。
発達障害のお子さんのものの見方が異なることが認知発達に影響を与えることを研究しつつ、支援の在り方を探っていきたいと考えています。
主要論文・著作
- 三谷真優・永田雅子 (2015) 医療領域における臨床心理士の在り方に関する研究展望 入院患者との関わり事例論文を中心に 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 62, 107-115.
- 三谷真優・永田雅子 (2017) 心理臨床家の熟達化研究に関する研究動向 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要64, 119-126.
高橋 義行 教授(兼任)
TAKAHASHI Yoshiyuki
名古屋大学大学院医学系研究科小児科学
博士(医学)
主要論文・著作
- Comparison of high-dose and low-dose corticosteroid therapy for refractory Mycoplasma pneumoniae pneumonia in children. , Okumura T, Kawada JI, Tanaka M, Narita K, Ishiguro T, Hirayama Y, Narahara S, Tsuji G, Sugiyama Y, Suzuki M, Tsuji T, Hoshino S, Nakatochi M, Muramatsu H, Kidokoro H, Takahashi Y, Sato Y, Nagoya Collaborative Clinical Research Team. , Journal of infection and chemotherapy : official journal of the Japan Society of Chemotherapy , 2019年
- Application of RNA Sequencing for Early Diagnosis of NUT Carcinoma: A Case Report , Miwata Shunsuke, Narita Atsushi, Wakamatsu Manabu, Narita Kotaro, Kitazawa Hironobu, Kataoka Shinsuke, Hamada Motoharu, Murakami Norihiro, Taniguchi Rieko, Ichikawa Daisuke, Suzuki Kyogo, Kawashima Nozomu, Nishikawa Eri, Okuno Yusuke, Nishio Nobuhiro, Muramatsu Hideki, Kojima Seiji, Takahashi Yoshiyuki , PEDIATRIC BLOOD & CANCER , 65巻 (頁:S74-S74), 2018年
- A Case of Thoracic Tumor Caused by SMARCA4 Biallelic Inactivation , Ichikawa Daisuke, Muramatsu Hideki, Okuno Yusuke, Wakamatsu Manabu, Miwata Shunsuke, Narita Kotaro, Kitazawa Hironobu, Hamada Motoharu, Kataoka Shinsuke, Taniguchi Rieko, Murakami Norihiro, Suzuki Kyogo, Nishikawa Eri, Kawashima Nozomu, Narita Atsushi, Nishio Nobuhiro, Kojima Seiji, Takahashi Yoshiyuki , PEDIATRIC BLOOD & CANCER , 65巻 (頁:S74-S74), 2018年
- A Case of MLL-AF9 Fusion Positive Malignant Lymphoma Without Bone Marrow Infiltration Either at First Diagnosis or at Relapse , Narita Kotaro, Kataoka Shinsuke, Hamada Motoharu, Ichikawa Daisuke, Taniguchi Rieko, Murakami Norihiro, Suzuki Kyogo, Nishikawa Eri, Nishio Nobuhiro, Okuno Yusuke, Kawashima Nozomu, Narita Atsushi, Muramatsu Hideki, Kojima Seiji, Takahashi Yoshiyuki , PEDIATRIC BLOOD & CANCER , 65巻 (頁:S99-S99), 2018年
- A Case of Dyskeratosis Congenital who Showed the Improvement of Telomere Length After Receiving Androgens for 11 Years , Wakamatsu Manabu, Nishio Nobuhiro, Miwata Shunsuke, Narita Kotaro, Kitazawa Hironobu, Kataoka Shinsuke, Hamada Motoharu, Murakami Norihiro, Ichikawa Daisuke, Taniguchi Rieko, Suzuki Kyogo, Kawashima Nozomu, Nishikawa Eri, Okuno Yusuke, Narita Atsushi, Muramatsu Hideki, Kojima Seiji, Takahashi Yoshiyuki , PEDIATRIC BLOOD & CANCER , 65巻 (頁:S65-S65), 2018年
- *Hematopoietic stem cell transplantation for solid tumors. , Handbook of Stem Cells , Takahashi Y, Srinivasan R, and Childs R, 2004年
城所 博之 講師(兼任)
KIDOKORO Hiroyuki
名古屋大学医学部附属病院小児科学
博士(医学)
主要論文・著作
- Yokoi S, Kidokoro H, Yamamoto H, et al. Hippocampal diffusion abnormality after febrile status epilepticus is related to subsequent epilepsy. Epilepsia 2019[Epub ahead of print]
- Murner-Lavanchy IM, Kidokoro H, Thompson DK, et al. Thirteen-year outcomes in preterm children associated with diffuse excessive high signal intensity on neonatal magnetic resonance imaging. J Pediatr 2019; 206: 66-71.
- Sakaguchi Y, Kidokoro H, Ogawa C, et al. Longitudinal findings of MRI and PET in West syndrome with subtle focal cortical dysplasia. AJNR Am J Neuroradiol 2018; 39: 1932-1937.
- Ogawa C, Kidokoro H, Fukasawa T, et al. Cytotoxic edema at onset in West syndrome of unknown etiology: a longitudinal diffusion tensor imaging study. Epilepsia 2017; 59: 440-448.
- Kidokoro H, de Vries LS, Ogawa C, et al. Predominant area of brain lesions in neonates with herpes simplex encephalitis. J Perinatol 2017; 37: 1210-1214.
- Brouwer MJ, Kersbergen KJ, van Kooij BJM, et al. Preterm brain injury on term-equivalent age MRI in r elation to perinatal factors and neurodevelopmental outcome at two years. PLoS One 2017;12:e0177128.
- Hyodo R, Sato Y, Ito M, et al. Magnetic resonance spectroscopy in preterm infants: association with neurodevelopmental outcomes. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed 2017; 103: F238-F244.
- Tanigawa J, Mimatsu H, Mizuno S, et al. Phenotype-genotype correlations of PIGO deficiency with variable phenotypes from infantile lethality to mild learning difficulties. Hum Mutat 2017; 38: 805-815.
- Ito Y, Kidokoro H, Negoro T, et al. Paroxysmal nonepileptic events in children with epilepsy. Epilepsy Res 2017; 132: 59-63.
- 城所博之. 胎生期脳の正常発達とその損傷. 脳と発達 2017; 49: 315-21.
こころと社会のつながり分野
野村 あすか 准教授
NOMURA Asuka
心の発達支援研究実践センター こころと社会のつながり分野 准教授
博士(心理学)
児童・思春期を中心とした子どもたちが自分自身や自分を取り巻く環境をどのように捉えているのか、そして、不適応に陥っている、もしくはその兆候のある子どもたちの心の声を聴き支援へとつなげていくためにはどうしたらよいのかについて関心をもっています。
これまでには、臨床心理学の立場から、質問紙法、投影法、学校場面における行動観察といった多面的なアプローチを試み、海外の子どもとの比較も通して、日本における子どものウェルビーイング(心の健康)の様相を明らかにしてきました。今後は、子どものウェルビーイングの発達的変化や、発達障害など何らかのニーズのある子どものウェルビーイングの特徴を解明する研究なども進めながら、子どもや子どもを取り巻く環境への心理支援のあり方を考えていきたいと思っています。
主要論文・著作
- 野村あすか・松本真理子・鈴木伸子・稲垣美絢・坪井裕子・森田美弥子 (2019). 日本における外国人児童のウェルビーイングに関する研究―日本語能力との関連から― 学校メンタルヘルス,22,60-70.
- 野村あすか (2018). 日本の学校と子どもの実態 窪田由紀・平石賢二 (編) 心の専門家養成講座⑦ 学校心理臨床実践 ナカニシヤ出版, pp.39-47.
- 野村あすか・松本真理子 (2017). 子どもが捉える家族に関する研究動向と文献紹介<子ども研究ノート4> 児童心理, 2017年8月号臨時増刊, 130-136.
- 野村あすか (2015). 不登校を呈して来談した中学生女子の母親面接―“母親”として娘に寄り添うこと― 心理臨床―名古屋大学心理発達相談室紀要―, 30, 79-88.
- 野村あすか・松本真理子・坪井裕子・鈴木伸子・畠垣智恵・垣内圭子・大矢優花・森田美弥子 (2013). 文章完成法から見た日本とフィンランドの児童生徒の自己像と対人関係 心理臨床学研究, 31, 844-849.
野邑 健二 特任教授
NOMURA Kenji
心の発達支援研究実践センター こころと社会のつながり分野 特任教授
博士(医学)
職種は児童精神科医で、名古屋大学精神医学教室の児童部(児童精神医学グループ)に所属しています。本センターでは、発達障害児支援プロジェクトの特任教員をしております。
現在の主な活動は以下の通りです。(詳細は、プロジェクトのWebサイトをご覧ください)
- アジアの発達障害児支援研究(モンゴル国、ベトナム)
- 地域連携による支援研究(5歳児健診から始める発達障害児支援、中学生への移行支援、通級指導教室との連携による学習支援等)
- 心理社会的支援研究 in心理発達相談室(ペアレントトレーニング、学習障害児支援等)
- 東海国立大学機構発達障害支援コンソーシアム(Webサイト)
多職種連携による、発見⇒評価⇒支援が有機的に結びついた発達障害児支援システムの構築というイメージを持ちながら、チームで臨床研究事業を行っています。
ご縁のあったフィールドで継続的に活動をさせていただく中で、人と人とのつながりが次の事業展開を導き出していくことを実感しています。
主要業績
- Nomura. K., Yokoyama K., Kaneko H., Odgerel D., Nagata M. 2023 Review on Changes in the Prevalence of Children with Developmental Disorders in Japan and the Importance of Grasping the Actual Situation in Mongolia. Proceedings of the Quality Assurance in Higher Education International Conference (QAHE 2022)、Atlantis Highlights in Social Sciences, Education and Humanities, 16-21.
- 永田雅子・野邑健二編著 2022 モンゴル国における知能検査の開発-子どもに寄り添った発達支援を目指して-.明石書店,東京.
- 本城秀次、野邑健二、岡田俊編 2016 臨床児童青年精神医学ハンドブック.西村書店,東京.
- 野邑健二編 2016 就学前児 入学前に発達が気になる子どもを支える(心の発達支援シリーズ~発達が気になる子どもに寄り添う.松本真理子・永田雅子・野邑健二監修 第2巻).明石書店,東京.
- Shibata Y., Okada K., Fukumoto R., Nomura K. 2015 Psychometric properties of the parent and teacher forms of the Japanese version of the Strengths and Difficulties Questionnaire. Brain and Development, 37:501-507.
- Nomura K., Okada K., Noujima Y., Kojima S., Mori Y., Amano M., Ogura M., Hatagaki C., Shibata Y., Fukumoto R. 2014 Clinical Study of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Preschool Children – Prevalence and Differential Diagnoses. Brain and Development, 36:778-785.
横山 佳奈 特任助教
YOKOYAMA Kana
心の発達支援研究実践センター こころと社会のつながり分野 特任助教
自閉スペクトラム症児の社会性の発達と、対人関係の広がりについて関心を持っています。子ども同士で有意義な対人関係を築くことは、子どもの発達やよりよく生きることに必要です。しかしながら、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害をもつ子どもたちは、他児との対人関係を築き、積み上げていく機会が少ないため対人関係の発達に難しさを抱える場合が多いといわれています。
そのため、発達障害をもつ子どもたちに対して、日常に根差した早期介入の方法やシステムをより確立していくことは、子どもたちの対人関係の広がりにとって重要であると考えています。プロジェクトでは、発達障害をもつ子どもたちの発達と、そこに対する早期介入、支援方法について考えていく中で、多職種の連携のあり方や支援システムの構築について検討していきたいと思っています。
主要論文・著作
- 横山佳奈・永田雅子 (2022). 「第Ⅱ部第3章 遊戯療法」 森田美弥子・松本真理子・金井篤子(監修) 狐塚貴博・田附紘平(編)心の専門家養成講座第4巻『心理支援の理論と方法』, pp.63-86, ナカニシヤ出版.
- 横山佳奈 (2023). 発達障害の早期発見・早期支援に関する研究の動向と今後の課題. 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要, 69, 11-20.
- 横山佳奈・永田雅子 (2020). 統合保育におけるASD児の対人関係の広がりと行動の変化についての検討 第1報. 小児の精神と神経, 60 (1) , 59-66
伊藤 拓 特任助教
ITO Taku
心の発達支援研究実践センター こころと社会のつながり分野 特任助教
個人としては、後悔という感情がどのようにして人の成長に寄与するのか、ということに関心を持っています。我々が経験するネガティブ感情は一般的には苦痛を伴うものとされていますが、一方でそれぞれに人が適応するための意義があり、後悔も例外ではありません。そこで後悔を経験したとき、どうすればその経験を最大限意味のあるものにできるのか、どのようにその経験と向き合うことが適応的であるといえるのかを明らかにしたいと思っています。
プロジェクトで臨む課題の多くは自分にとってまだまだ勉強中の分野になりますが、携わることになる方々とのつながり、ご縁を大切にしながら取り組んでいきたいと思っています。
主要論文・著作
- 伊藤拓(2022).後悔経験から適応に至るプロセスの個人差に関する検討―制御焦点と認知的感情制御に着目して― パーソナリティ研究,31,18-31.
- 伊藤拓・瀬戸美奈子(2022).身近な他者への相談後の意思決定における後悔と自己統制感の関連―意思決定の結果及びプロセスに対する後悔に着目して― 東海心理学研究,15,9-16.
- 伊藤拓(2021).“ドライバー”として祖父が面接に同席した小学生男児の母親面接を振り返る―親面接に参加した3者の関係性に着目して― 名古屋大学心理発達相談室紀要『心理臨床』,36,47-55.
- 伊藤拓・鶴田裕子(2023).対人関係の問題を主訴に来談した小学生男児のプレイセラピー―プレイセラピーにおける「つながり」に着目して― 名古屋大学心理発達相談室紀要『心理臨床』,38,3-12.
こころの支援実践分野
鈴木 健一 教授
SUZUKI Kenichi
心の発達支援研究実践センター こころの支援実践分野 教授
博士(心理学)
心理臨床の実戦にあって、私は、どのような関わり方が相手の心を出来る限り正確に理解できるのか、そして、少しでもその人が生きやすい人生となるにはどのような関わり方をすればよいのか、さらには、どのような要因が人の変化・成長を促すのか等について、興味と関心を抱き、精神分析の概念を用いた研究をおこなっています。
これまで、筋ジストロフィー患者、不登校の青少年やその保護者、犯罪被害者とその家族、海外在住の日本人、スクールカウンセラーとして出会った児童・生徒といった人たちと対話をしてきました。現在は、学生相談を利用する学生やピア・サポートに従事している学生ボランティアとの対話が中心になっていますが、このような人たちとの心理臨床実戦を通して、人と人との関係性のあり方、中でも特に、二人の間で生き生きとした関係性をいかにして構築するかが重要であることを指摘してきました。
これからも、このような生き生きとした関係性によって人が変化し、成長していくことを探究していきたいと思っています。
主要論文・著作
- 杉岡正典・鈴木健一 2023 学生相談におけるアナログゲームを介したグループ活動の試み 学生相談研究, 44, 1, 1-11.
- 鈴木健一 2016 学生相談と精神分析(1)─解釈とユーモア─ Psychoanalytic Frontier(京都精神分析心理療法研究所紀要)1, 15-24.
- 鈴木健一 2014 学生相談における夢の臨床的利用による現実検討能力の育み 学生相談研究, 35, 2, 107-117.
- 今江秀和・鈴木健一 2013 交通事故加害者となった学生への支援に関する一考察 学生相談研究 34, 2, 124-133.
- 鈴木健一 2009 ニューヨークを中心としたアメリカの学生相談の現状について─統計資料と精神分析の視点を通して─ 学生相談研究 29, 3, 273-284.
- 安田道子・鈴木健一(編著) 2016 心の発達支援シリーズ6「大学生:大学生活の適応が気になる学生を支える」 明石書店
- ブレッシュナー(著)鈴木健一(監訳) 2018 夢のフロンティア─夢・思考・言語の二元論を超えて─ ナカニシヤ出版
- ビューチュラー(著)川畑直人・鈴木健一(監訳) 2009 精神分析臨床を生きる─対人関係学派からみた価値の問題─ 創元社
杉岡 正典 准教授
SUGIOKA Masanori
心の発達支援研究実践センター こころの支援実践分野 准教授
博士(心理学)
専門は、学生相談とコミュニティ心理学です。とくに、不登校や引きこもり、親子関係、リストカットや自殺問題、アイデンティティの問題など、思春期や青年期の人の抱える臨床的問題について、カウンセリングや地域援助の観点から研究を行っています。「何がクラエイントにとって役立つのだろうか」という思いから、個人の心理力動や家族関係、そして、その人を取り巻く社会的関係までを含めた「つながり」や「関係性」を探求していきたいと思っています。
これまでの研究テーマは、文化的マイノリティ(外国人労働者やその家族)への支援と自殺予防です。現在は、大学生の自殺予防のあり方、危機介入、そして、自殺遺族の方への援助などに関心があります。
主要論文・著作
- 杉岡正典・兒玉憲一 2007 滞日日系ブラジル人児童生徒支援のための支援者ネットワーキングの試み コミュニティ心理学研究,11(1),76-89.
- 杉岡正典 2011 香川大学における自閉症スペクトラム障害の学生相談の現状と課題 精神療法37(2)154-159
- 杉岡正典・若林紀乃 2012 大学生を対象とした自殺予防教育に関する基礎的研究 広島文化学園大学学芸学部紀要 第2号 9-15
- 杉岡正典 2014 「吐く」不安を訴える女子学生への心理療法的アプローチ 香川大学保健管理センター紀要3 167-173.
- 杉岡正典 他 2014 大学生の抑うつと自殺の捉え方が自殺傾向に与える影響 CAMPUS HEALTH 51(2)205-210
工藤 晋平 准教授
KUDO Shimpei
名古屋大学学生支援本部アビリティ支援センター
博士(心理学)
精神分析とアタッチメント理論を背景に臨床活動を行ってきました。精神科での臨床経験が一番長いのですが、スクールカウンセラー、刑務所での処遇カウンセラー、民間の出所者更生施設の運営、開業設定での臨床などに携わってきました。現在は障害のある学生の修学支援という、学術活動の支援を行っています。生きることの基盤としての安全と安心が損なわれることで、どのような病理や問題へとつながっていくのかを、障害の有無に関わらず考えています。
kudo.shimpei.r8[at]f.mail.nagoya-u.ac.jp
主要論文・著作
- アタッチメントと臨床領域(共著)
- アタッチメントの実践と応用(共著)
- アタッチメントに基づく評価と支援(共編著)
- エビデンス・ベースドな精神力動論(精神療法第42巻第3号)
- 自立準備ホームにおける社会復帰支援:不安や恐れに安心感のケアを届ける(刑政128巻第5号)
- アタッチメントの観点から非行・犯罪をモデル化する(心理学評論第60巻第2号)
竹本 美穂 助教
TAKEMOTO Miho
心の発達支援研究実践センター こころの支援実践分野 助教
学生の社会参加に焦点を当て、一人一人が納得のいく進路選択を実現するために、どのような支援が有効となるかについて研究実践を行っています。キャリアは、個人個人の意思決定の連鎖によって開発されていきます。それぞれ異なる能力や発達状態、精神状態を有する学生が、自身への理解を深めながらキャリアを開発していけるよう、個々に合った形での支援を模索しています。
また、障害を持つ学生の社会参加支援をテーマとし、特に発達障害を持つ学生が、納得度の高いキャリア形成を実現していくための方策について、研究と実践を重ねています。
主要論文・著作
- 金子未来・石原真里奈・竹本美穂・後藤秀爾 2018 長期不登校中・高生の社会参加不安−バウム・テストを用いた類型化の試み 愛知淑徳大学心理臨床相談室紀要 22,35-47.
林 陽子 助教
HAYASHI Yoko
心の発達支援研究実践センター こころの支援実践分野 助教
発達障害の特性がある方やそのご家族の支援を専門としています。これまでの研究では、完ぺき主義的なこだわりが強い自閉スペクトラム症の小中学生に焦点を当て、その支援プログラムを作成するというテーマに取り組みました。
乳幼児期の発達相談、療育センターや児童精神科外来等で臨床活動を行ってきましたが、最近では大学において学生相談や障害学生支援に携わっています。
発達障害のある大学生は、授業参加や課題への取り組み、対人関係、生活管理など様々な面において困難を経験しやすく、不安や抑うつ等、二次的なメンタルヘルスの問題を抱えやすいといわれています。一方で、障害特性含め自分の得意不得意を把握し、適切な環境調整が行われる場合、大きな困難なく大学生活を過ごし、本人に合う進路選択ができる学生とも出会ってきました。今後は、発達障害のある大学生の学生生活への適応や自己理解を促すための支援について検討していきたいと考えています。
主要論文・著作
- 林陽子(2016).こだわりが強い子どもへの支援―完ぺき主義が気になる子ども― 松本真理子・永田雅子(編) 心の発達支援シリーズ4 小学生・中学生 情緒と自己理解の育ちを支える 明石書店 pp.164-174.
- 和田浩平・林陽子(2015)高機能広汎性発達障害をもつ母親の心理的体験過程について.臨床心理学研究,33(2),138-149.
- 林陽子・岡田涼・谷伊織・吉橋由香・辻井正次(2012).広汎性発達障害における強迫関連症状に関する調査.児童青年精神医学とその近接領域.53(5),607-622.
- 林陽子・吉橋由香・田倉さやか・辻井正次(2010).高機能広汎性発達障害児を対象とした完全主義対応プログラム作成の試み,小児の精神と神経.50(4),407-417.
和田 尚子 特任講師
WADA Hisako
心の発達支援研究実践センター 心の支援実践分野 特任講師
学生支援本部 共修推進部門
国際本部 グローバル・エンゲージメントセンター
精神科クリニックでさまざまな困難や障害、逆境的小児期体験のある患者様の心理療法に長年携わってきました。2015年からは、名古屋大学で留学生の相談対応・生活適応支援に携わっています。留学生は、言語、文化の違い等だけではなく、多様な要因が重なり、大きな困難を抱えてしまうことがあります。日本での留学期間に、自己理解を深め、成長に繋げられる関わりができるよう、個々にあった方法を模索しながら、臨床活動をしています。
複雑な外傷体験を有している場合の理解や支援、教育現場でのトラウマ・インフォームドアプローチについても考えています。
古橋 忠晃 准教授(兼任)
FURUHASHI Tadaaki
名古屋大学総合保健体育科学センター
名古屋大学学生支援本部学生相談センター(メンタルヘルス支援部門)
博士(医学)
臨床心理士としての専門領域・技法・対象・バックグラウンドなど
名古屋大学東山キャンパス内の学生のメンタルヘルスに従事する精神科医です。専門は精神医学、精神病理学、精神分析学です。「ひきこもり」の専門家で、フランスでも日本と同様の現象が起きていることから、定期的にフランスに滞在して、現地の訪問診療をしたり、講演会や市民講座などをしたり、フランスで監修している「ひきこもり」相談窓口で勤務するフランスの臨床心理士に対して「ひきこもり」のケースのスーパーヴァイズをしています。
スーパーヴィジョンの方針・やり方・条件・スーパーバイジーに求めるもの
私は精神科医ですので、精神疾患全般を念頭に置いた場合のスーパーヴィジョンをまずは行います。しかし、実際の臨床では精神疾患なのかどうか判断がつかないまま相談に応じないといけないこともしばしばあります。そうした問題の一つが「ひきこもり」です。このような場合のスーパーヴィジョンも行います。
主要論文・著作
- ASSOCIATING THE SOCIAL DETERMINANTS OF HEALTH WITH THE DREAMS AND HOPES OF TEENAGERS WHO STRAY IN DOWNTOWN AREAS LATE AT NIGHT IN JAPAN , Tanaka Tsutomu, Furuhashi Tadaaki, Yabushita Momoko , JOURNAL OF ADOLESCENT HEALTH , 64巻 2号 (頁:S114-S115) , 2019年
- ひきこもりの日仏比較 , 古橋忠晃 , 精神科 , 34巻 2号 (頁:157-163), 2019年
- ラカンの観点から見た、現代社会の病理の一つである「ひきこもり」について , 古橋忠晃 , iichiko , 140巻 (頁:101-112), 2018年
- 「コレクション自慢の会」の十年目の報告 , 古橋忠晃 , 名古屋大学学生相談総合センター紀要17号 (頁:77-78), 2018年
- 名古屋大学学生相談総合センターにおけるグループワークによる援助活動の実際と課題 , 杉岡正典,鈴木健一,山内星子,古橋忠晃,長島渉,横井綾,船津静代,井戸智子,栗原りえ,佐藤剛介,後藤悠里,李明憙,織田万美子,松本真理子 , 名古屋大学学生相談総合センター紀要17号 (頁:3-11), 2018年
長島 渉 助教(兼任)
NAGASHIMA Wataru
名古屋大学総合保健体育科学センター
名古屋大学学生支援本部学生相談センター(メンタルヘルス支援部門)
博士(医学)
名古屋大学の保健管理室で学生および教職員のメンタルヘルスに従事しています(東山、鶴舞キャンパス担当)。専門はコンサルテーション・リエゾン精神医学で、総合病院における精神科医の役割の一つとして身体を診る診療科と関わる領域ですが、身体疾患を持つ患者の精神疾患や精神医学的評価を行います。精神科医が直接診察することもあれば、既に関わっている担当医や看護師のサポートを行うこともあります(代表的なものに緩和ケアがあり、多職種におけるチーム医療の一員として参加しています)。学生相談・教職員相談も、私一人が関わっているわけではなく、他の部門が関わる領域なので、コンサルテーション・リエゾン精神医学の知識を応用しながら診療にあたっています。
主要論文・著作
- Effect of antidepressant treatment on plasma levels of neuroinflammation-associated molecules in patients with somatic symptom disorder with predominant pain around the orofacial region
Miyauchi Tomoya, Tokura Tatsuya, Kimura Hiroyuki, Ito Mikiko, Umemura Eri, Sato (Bokuj) Aiji, Nagashima Wataru, Tonoike Takashi, Yamamoto Yasuko, Saito Kuniaki, Kurita Kenichi, Ozaki Norio
HUMAN PSYCHOPHARMACOLOGY-CLINICAL AND EXPERIMENTAL 34(4) 2019年7月 - Oral medicine psychiatric liaison clinic: study of 1202 patients attending over an 18-year period
Umemura E, Tokura T, Ito M, Kobayashi Y, Tachibana M, Miyauchi T, Tonoike T, Nagashima W, Kimura H, Arao M, Sato (Boku) A, Ozaki N, Kurita K
INTERNATIONAL JOURNAL OF ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERY 48(5) 644-650 2019年5月 - Exploration of coping styles in male patients with head and neck cancer: a prospective cohort study
Sato Naohiro, Kimura Hiroyuki, Adachi Yasunori, Nishio Naoki, Ando Masahiko, Tokura Tatsuya, Nagashima Wataru, Kishi Shinichi, Yamauchi Aya, Yoshida Keizo, Hiramatsu Mariko, Fujimoto Yasushi, Ozaki Norio
NAGOYA JOURNAL OF MEDICAL SCIENCE 81(2) 249-258 2019年5月 - 大学生の精神的不調のきっかけ -テキストマイニングによる分析-
長島 渉, 横井, 綾, 古橋, 忠晃, 小川 豊昭
CAMPUS HEALTH 55(2) 138-43 2018年5月 査読有り - 自宅退院の意向を持つがん入院患者の自宅退院を困難にする要因
長島渉, 崎山奈津子, 鈴木大吾, 渡邉啓介, 水野るみ子, 鈴木利恵, 森本優子, 望月寿人, 會津恵司
Palliative Care Reserch 11(4) 282-88 2016年10月 査読有り - Preoperative level of depression is a predictor of postoperative levels of depression in patients with head and neck cancer.
Adachi Y, Kimura H, Sato N, Nagashima W, Nakamura K, Aleksic B, Yoshida K, Fujimoto Y, Nakashima T, Ozaki
N, Jpn J Clin Oncol. 44(4) 311-7 2014年4月 査読有り