アジアにおける発達障害児支援研究Research
アジアにおける発達障害児支援研究
本センターの発達障害児支援研究プロジェクトの一環として、アジアにおける発達障害児支援研究を行っています。
主としてモンゴル国、ベトナムで活動を行っています。
モンゴル国では、2013年からモンゴル国立教育大学と学術協定を結んで共同研究を行っていて、2016年に同大学内に開設した「名古屋大学モンゴル国立教育大学子ども発達共同支援センター」が活動拠点となっています。現在は、モンゴル医科大学も含めた三者協働で、知能検査モンゴル版の開発・普及、発達障害児の疫学調査や児童精神科医養成研修プロジェクトなどを行っています。
ベトナムでは、ハノイ教育大学、ハノイ医科大学などと交流を続けています。ハノイ教育大学とは2023年に学術協定を結び、発達検査のベトナム版開発などの共同研究を進めています。
活動報告
1月11日-17日 モンゴル訪問
2026-01-21
1月11日―17日の日程で当センターの金子教授・センター長,野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教がモンゴル国を訪問しました。
今回の訪問の主な目的の1つは,モンゴル国立医科大学と協働で進め,今年度で3年目を迎えたモンゴル国内における児童精神科医養成プロジェクトの総括する報告会に参加することでした。
報告会には3年間の研修参加者のほとんどが参加し,我々も懐かしい顔ぶれとの再会を喜びました。開会式でモンゴル国立医科大学医学部長のEnkhtur先生と,モンゴル国立精神保健センターのUngantsetseg先生,金子教授と野邑特任教授から開会のスピーチが行われました。また口頭発表として野邑特任助教から日本における児童精神科医養成の歴史と現状,横山特任助教から,日本における今回の研修の様子が紹介されました。


3年間の研修参加者の皆さん / 野邑特任教授のスピーチ
本研修プロジェクトは3年目の今年度で一区切りとなりましたが,これからの展開に向けて共同研究者のモンゴル国立医科大学精神科の先生方と研究会議を行い,主に本プロジェクトの今後の方向性と,現在進行中のモンゴル国内における発達障害の疫学調査に関する現状を共有・意見交換を行いました。
またモンゴル国立教育大学にもうかがいました。
モンゴル国立教育大学では,Batbaatar学長,Byambatseren教員養成学部長との面談のお時間をいただきました。我々からはそれぞれに,10年以上に及ぶ協働関係へのご理解に対する感謝をお伝えするとともに,引き続きのご協力をお願いしました。Batbaatar学長からは,今後,新たに立ち上げていくプロジェクトの内容について,全面的なご協力をお約束いただきました。Byambatseren学部長からも両大学のこれまでの協働関係について高く評価していただき,今後も田中ビネー知能検査モンゴル版(MTB検査)をはじめとしたさまざまな事業について,引き続きサポートをいただけるとのお話がありました。


Batbaatar学長を囲んで / Byambatseren教員養成学部長との面談の様子
また MTB検査をモンゴル国立教育大学の教育カリキュラムに組み込んでいく運びとなり,教員養成学部の学部・大学院教育,教育学部の特別支援教育学科のご担当の先生と具体的な内容について協議しました。
田中ビネー知能検査開発チーム(MTBチーム)とも再会し,この冬に新設される,名大とモンゴル国立教育大学の協働活動拠点で実施する予定となっている外来の心理発達相談や,今後の研究について協議しました。
教育学部では,Munkhjargal学部長や,かねてより協働で研究を行っているOdgerel先生と,これから実施していくモンゴル国内の学習障害に関する研究について意見を交換しました。モンゴル国内では学習障害に関する認知度がまだまだ低く,今後、この研究が進んでいくことによって子どもの理解や支援に貢献することができるであろうことが共有されました。

Munkhjargal学部長,Odgerel先生と
また,田中ビネー知能検査の開発元である田中教育研究所のご協力の下,現地でMTB検査を実施している専門家を対象とした研修を開催しました。田中教育研究所からはオンラインで中村淳子先生にご講演いただき,現地では横山特任助教,モンゴル国立教育大学のMyagmarjav先生が講演を行いました。さらに現地で実際にMTBを使用している専門家から実践報告がありました。モンゴルにおいてMTB検査がどのように利用されているのか,実際の様子をうかがい知ることができる貴重な機会となりました。

研修参加者の皆様と
冬のモンゴルは,気温が常時氷点下を下回る厳しい気候でしたが,現地の皆さんの温かいおもてなしや,子どもの支援に対する熱い気持ちにたくさん触れ,大変実りのある訪問となりました。

ウランバートル中心のスフバートル広場には氷の滑り台ができあがっていました
12月8日-21日 モンゴル児童精神科専門医 養成研修
2026-01-06
今年度も12月8日ー21日の日程で,モンゴルにおける児童精神科専門医養成研修における,日本での研修を行いました。今年度は、昨年、一昨年より2人多い、12名の精神科医が来日し,講義・症例検討および,愛知県内各地の専門機関の視察に訪れました。

金子センター長の挨拶
本研修の実施にあたっては,今年度も本学医学部附属病院 親と子どもの診療科・加藤秀一先生,尾張福祉相談センター・吉川徹先生,刈谷病院・石島洋輔先生にご協力を賜りました。また,本学医学部保健学科・佐野美沙子先生,国立精神・神経医療研究センター・高橋長秀先生,あいち小児保健医療総合センター・川村昌子先生にご講演をいただきました。さらに事例検討には,本学アジアサテライトキャンパス学院・青木藍先生,本学医学部附属病院 精神科・竹田和弘先生,同小児科・栗田翔太郎先生,精治療病院・大野由佳先生,愛知県医療療育総合センター中央病院・井上絵梨先生にもご参加いただきました。

講義の様子
今年度は,当センターをはじめ名古屋大学医学部附属病院(名古屋市昭和区),刈谷病院(刈谷市),あいち小児保健医療総合センター(大府市),愛知県医療療育総合センター(春日井市)へ視察にうかがいました。愛知県内でも有数の,子どもを専門とする医療機関を見学し,各機関の設備の充実度に先生方も感銘を受けておられました。


刈谷病院 / あいち小児保健医療総合センター
最終日には2週間の統括として,修了式が行われ,参加者の先生1人1人に修了証が授与されました。2週間という短い期間でしたが、充実した研修内容に加え,日本での異文化体験に,先生方も大変満足して帰路に就かれました。皆さま,お疲れ様でした。


修了証の授与 / 記念撮影
今年度で本研修は3回目を終えました。ここまでの3年間の研修により,モンゴル全土をカバーしうる人数である32人の児童精神科医が養成されました。今後,さらにモンゴル国内における子どものこころのケアの体制を充実させていくために,研修を終えた皆さんの活躍を祈念するとともに,我々も活動をさらに展開していきたいと思います。

2週間お疲れ様でした!
10月5日-13日 モンゴル訪問
2025-10-18
10月5日ー13日の日程で当センターの野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教がモンゴル国を訪問しました。また今年度で3期目となる,児童精神科専門医研修の実施のため,今年も医学部附属病院 親と子どもの心療科の加藤秀一先生,尾張福祉相談センターの吉川徹先生,医療法人成精会 刈谷病院の石島洋輔先生にご同行いただきました。


講義の様子 / 受講生の皆さんと
今年度の研修には,モンゴル国内で活躍する精神科医12名が参加しました。講義は,昨年度に本事業の一環として作成されたテキストブックに沿って実施されました。最終日には昨年度の研修生Minjmaa先生が提供してくださった症例を元に,症例検討を行いました。参加者の皆様からも積極的に意見が述べられ,有意義な症例検討となりました。12名の皆様は12月に来日し,引き続き講義の受講と,日本の医療機関の視察を行う予定です。
また研修は,ウランバートル市内3カ所の発達障害支援に携わる施設を会場として実施されました。研修最終日の会場となったOurahaセンターは自閉症児の療育を行っている私設機関です。トルコから専門家を職員として招いており,応用行動分析や言語療法,作業療法,学習支援など,様々なアプローチを実施しているとのことでした。

Ourahaセンターにて
加えて,今年度も郊外の医療機関の視察へ行きました。首都ウランバートルから片道200kmほど離れたドンドゴビ県マンダルゴビ市を訪れ,地域の総合病院を視察しました。当院では2023年に新たに入院病棟が完成しましたが,患者の入院治療をサポートできる精神科専門の看護師の人材難が現状の課題とのことでした。この課題について,今後、国立精神医療センターが,そのような人材育成を推進する旨が確認され,病院とセンターの間で契約が取り交わされる場に,我々も立ち会わせていただきました。

マンダルゴビの総合病院にて
また野邑特任教授,横山特任助教はモンゴル国立教育大学にも赴き,教員養成学部の共同研究者の先生方と,今後協力して進めていく研究計画について議論しました。また,8月に訪問した療育センターにも再訪し,前回お会いすることができなかったセンター長にもご挨拶する機会をいただけました。

療育センターの皆様と

中央ゴビ砂漠の景勝地,バガ・ガザリン・チュローにて
8月17日-23日 モンゴル訪問
2025-09-18
8月17日-23日の日程で,当センターの永田教授・副総長,野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教がモンゴル国を訪問しました。
昨年12月に名古屋で児童精神科医養成研究を修了した10名の先生方と再会し,応用研修を行いました。また,研修参加者の先生の1人が勤めている,ウランバートル市,バガノール区保健センターを視察しました。バガノール区は,ウランバートルの9つの区の中で最も市の中心から離れています。その距離およそ130kmとあって,本センターは,実質的に近隣の市町村を含めて,この周辺地域の医療の中枢として機能しているとのことでした。


講義の様子 / 研修後には修了式が行われました
精神科については近年,入院病床が増設されるなど,拡充されている領域のようです。昨年度の研修を受講したMyagmarsuren先生も,日本から帰国された後,子どもの診療を行うために診察室を模様替えされたとのこと,今後益々のご活躍が期待されます。

子ども向けのおもちゃや絵本が並べられた診察室
また,国内ではアルコール依存症の患者が非常に多いこと,近年では若年層の拒食症が増加していることなど,モンゴル国内の精神医療の現状について,有益な情報をたくさんうかがうことができました。
さらに,モンゴル国立精神医療センターにも立ち寄り,昨年の日本での研修を経て新設されたという,カームダウンルームを見学させていただきました。部屋の壁にはフェルト生地が敷き詰められ,モンゴルらしさが感じられる部屋となっていました。まだ改修作業の途中とのことですが,まもなく実際に運用されていくようです。

新設されたカームダウンルーム
モンゴル教育大学(MNUE)では,「子供の発達障害:早期発見と支援」をテーマとした研究会議に参加しました。永田教授・副総長の挨拶で開会し,MNUEのOyunbileg先生,モンゴル医科大学(MNUMS)のBaasandorj先生,そして伊藤特任助教より,現在3大学の協力のもと進行中の,モンゴルにおける発達障害の疫学研究(ギルバーグ研究)の途中経過が報告されました。加えてMNUEのOdgerel先生,野邑特任教授,横山特任助教からも,関連トピックについて研究発表がありました。60名ほどの参加者が集まり,各発表について盛んに質疑応答が交わされました。


永田教授の開会の挨拶 / 参加者の皆様と
永田教授,野邑特任教授は,MNUEのBatbaatr学長ともお会いする時間をいただきました。学長からは名古屋大学の活動へのご理解と今後の期待についてお話をいただきました。
Odgerel先生のご協力のもと,ウランバートル市内の私設の児童発達センターの見学にうかがいました。本センターは,5歳~17歳の子どもおよそ70名が利用しているそうで,通所している子どもが持つ障害は,知的障害や,脳性麻痺など多岐にわたるそうです。モンゴルでは未だに発達障害をはじめとした障害を抱える子どもを対象とした,公的な療育機関が非常に少なく,本センターも当事者の保護者らが立ち上げたNPO法人が運営母体となっているそうです。運営スタッフや保護者から,熱心な質疑がなされ,子どもたちと一生懸命に向き合っていることがうかがえました。

児童発達センターの職員の皆様,MNUEの先生方と
MNUEでは,MTB開発チームのメンバーとも再会し,ミーティングを行いました。ミーティングでは,現在進行中の研究の進捗の報告や,今後の研究活動の方向性について共有しました。今後,新たに立ち上げていく研究についても意見を交換することができ,非常に有意義なミーティングとなりました。
7月8日-12日 ベトナム訪問
2025-07-17
7月8日-12日の日程で,当センターの金子センター長・教授,野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教が,ベトナム,ハノイを訪問しました。
活動の初日となった9日は,ハノイ国立教育大学(HNUE) を訪問しました。HNUEでは,かねてより,ベトナムにおける子供の発達検査の開発について共同研究を行っている特別支援教育学部 (The Faculty of Special Education)の先生方と再会し,ミーティングを行いました。ミーティングでは現状の共有や,これからの研究の詳細や課題が議論され,今後もよりよい研究を継続するために双方が協力していくことが確認されました。


HNUE特別支援教育学部の先生方と / ミーティングの様子
また現地では,HNUE特別支援教育学部の教員が兼任している特別支援教育訓練開発センター(Center for Special Education Training and Development),共同研究者の1人であるThu先生が所長を務める私設療育施設・キラセンター(Kira center),さらにハノイ市内の公立幼稚園・ホアホン(Hoa Hồng)幼稚園を見学させていただきました。
特別支援教育訓練開発センターでは,外来の,特別な教育ニーズのある子どもに対する初期介入のサービスをはじめ,研究や学生へのトレーニングコースの開講など,特別支援教育に関する幅広い活動が行われているようでした。本センターは近年,大学の方針でその活動が推進され始めたとのことでしたが,設備も整備されており,活動に対する熱意がうかがえました。

特別支援教育訓練開発センターのスタッフの皆様と
キラセンターでは,集団活動の様子を見学をさせていただきました。スタッフの先生方も,子供たちも,ベトナムの暑さにも負けない活気に満ちた姿が印象的でした。

キラセンターの先生方と
最終日に見学させていただいたホアホン幼稚園は,児童数400名,教員数36名が所属しており,まずはその規模に一同驚かされました。さらに本園はインクルーシブ教育のモデル園とされており,園内に療育を実施するための教室が併設されていました。年に1度,園内で全児童を対象に発達に関するスクリーニングを実施しており,その結果や日常的な教員との関わりから発達障害等が疑われる児童には,保護者の同意の得たうえで,週に数時間程度,当該教室において専門スタッフとの1対1の療育が提供されているそうです。公立幼稚園においてこのような支援が行われているという実情に,私たちも大変感銘と刺激を受けました。

ホアホン幼稚園の園長先生,皆様と
12月9日-21日 モンゴル児童精神科専門医 養成研修
2025-01-07
12月9日ー21日の日程で,児童精神科専門医養成研修のため,モンゴルより10名の精神科医が来日し,講義・症例検討および,愛知県内各地の専門機関の視察に訪れました。

初日,金子センター長を囲んで
講義・症例検討にあたっては,本学医学部附属病院 親と子どもの診療科・加藤秀一先生,同精神科・竹田和弘先生,尾張福祉相談センター・吉川徹先生,本学医学部保健学科・佐野美沙子先生,国立精神・神経医療研究センター・高橋長秀先生,刈谷病院・石島洋輔先生,あいち小児保健医療総合センター・川村昌子先生,宮崎三希子先生,愛知県医療療育総合センター・井上絵梨先生,三河病院・鬼頭諒先生,本学アジアサテライトキャンパス学院・青木藍先生にご協力いただきました。
連日の講義,症例検討にもかかわらず,参加者の先生方は最後まで熱心に質疑や意見交換をされていました。

講義の様子
また,本学医学部附属病院をはじめ,愛知県内の小学校(蟹江町立新蟹江小学校)や児童精神科に関わる医療機関(あいち小児保健医療総合センター,愛知県医療療育総合センター,刈谷病院)を視察しました。参加された先生の多くが日本に訪れること自体,初めてとのことで,日本の児童精神科医療だけでなく,日本とモンゴルのさまざまな文化の違いにも触れ,大変感銘を受けておられました。

小学校では,給食や掃除も体験しました

見学の様子
最終日には2週間の統括として,日本側のスタッフから参加者の先生方へ,児童精神科医として自分自身のこれまでの経験を踏まえた助言が送られ,参加者の先生方1人1人からも今後のキャリアへの抱負が語られました。

修了証の授与

修了式後,全員で記念撮影
今回参加された先生方の,モンゴルでの今後のご活躍と,モンゴルの児童精神科医療のさらなる発展を祈念するとともに, 我々も一層精進していきたいと思います。

皆様,2週間お疲れ様でした!
10月21日 ギルバーグ教授との研究ミーティング
2024-10-23
10月21日に当センターの金子センター長・教授,野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教が,高知県療育福祉センター内,高知ギルバーグ発達神経精神医学センター(KGNC)を訪問し,来日中のギルバーグ教授とミーティングを行いました。
スウェーデン ヨーデボリ大学のクリストファー・ギルバーグ教授は,児童精神医学分野における世界的な権威であり,私たちが現在進めているモンゴルにおける発達障害の疫学調査研究(ギルバーグ研究)にも指導的立場としてご参加いただいています。
このたび,かねてよりギルバーグ教授の指導・協力関係にあるKGNCのご協力の下,5年ぶりに対面でのミーティングが実現しました。
私たちからはギルバーグ研究について,目下進行中の二次調査の状況をご報告,一次調査の研究成果の論文化についてご相談し,ギルバーグ教授から,今後の方向性について建設的かつ重要なご助言をいただくことができました。

ミーティングは秋の風が心地よいテラスにて行われました
今後,いただいた助言を踏まえ,さらに研究を進めて参ります。

ギルバーグ教授を囲んで
10月6日ー14日 モンゴル訪問
2024-10-16
10月6日ー14日の日程で当センターの野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教がモンゴル国を訪問しました。また今回,児童精神科専門医研修を実施するにあたり,医学部附属病院 親と子どもの心療科の加藤秀一先生,尾張福祉相談センターの吉川徹先生,医療法人成精会 刈谷病院の石島洋輔先生にもご同行いただきました。
2年目となる児童精神科専門医研修には,今年もモンゴル国内の精神科医10名が参加しました。連日,長時間の講義となりましたが,参加者の皆さんは最後まで集中力を切らすことなく熱心に参加されていました。参加者の先生方は,12月にも日本で2週間の研修を受講する予定となっています。

研修受講者の精神科医の皆様と
また,首都ウランバートルから片道500km離れたスフバートル県バルーンウルト市を訪れ,地域の総合病院精神科を視察しました。広いこの地域全体の患者を数名の医師で対応したり,物理的な距離のために通院が難しい患者に入院治療を施したりといった,広大なモンゴル国ならではの地域医療の実情を理解する貴重な機会となりました。

バルーンウルト市内の総合病院にて
また野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教の3人は,かねてより共同研究を行っているモンゴル国立教育大学にも訪問しました。教員養成学部の学部長・ビャンバツェレン先生に面談のお時間をいただき,ここまでの共同研究・実践の成果と,今後の展望についてお伝えすることができました。

ビャンバツェレン教員養成学部長と
その後,モンゴル版田中ビネー開発プロジェクトのメンバーと,現在進行中のモンゴル国内における発達障害の疫学調査に関するミーティングを行い,今後の方向性を共有しました。

ミーティングの様子
また,同大学の教育学部心理と方法論学科では精神療法に関する講義を行いました。講義には在学中の学部生や大学院生だけでなく,現在は臨床現場で実践を行っている卒業生の方も含め,平日の夕方にもかかわらず大勢の方にご参加いただきました。


講義の様子/ガルサンジャムツ心理と方法論学科長と

地平線を背に
8月29日ー9月6日 モンゴル訪問
2024-09-10
8月29日ー9月6日の日程で当センターの金子センター長・教授,野邑特任教授,横山特任助教,伊藤特任助教がモンゴルを訪問しました。
モンゴル国立教育大学にて,今回のモンゴル訪問の主な目的の1つである,モンゴル版田中ビネー知能検査 検査者養成者研修の修了者を対象とした応用研修を行いました。

講義の様子
野邑特任教授から「発達に特別な支援の必要な子どもへのMTBの適用」と横山特任助教から「MTBの結果の理解とその解釈」をテーマに講義を行った後,検査者養成研修を修了した現地専門家から実際にモンゴル版田中ビネー知能検査を実施した事例の発表がありました。それぞれの発表者からは,実際に検査を使用した所感や実際的な質問が積極的に挙げられ,私たちメンバーにとってもモンゴル国内での田中ビネー知能検査の実情について理解する有意義な時間となりました。

受講者の皆様と
また滞在期間中,ウランバートルから郊外のダルハン市へ移動し,モンゴル国内における児童精神科専門医研修を前年度に修了した精神科医を対象に,応用研修を実施しました。野邑特任教授より「初回問診」「家族への心理支援」,横山特任助教より「プレイセラピー」,伊藤特任助教より「思春期・青年期の精神療法」というテーマで講義が行われました。
その後,ダルハン市内の精神科病院を見学させていただきました。入院病棟内に治療を受ける子供のために母子で入院できる病室が設えられているなど,精神科医療におけるモンゴルと日本の異なる様相について知る貴重な機会となりました。

親子で入院できる病室
また今回の滞在では,モンゴル国の教育総局を訪問し,ニャム・オチール局長,さらに偶然総局を訪れていたナランバヤル教育大臣に面会することもできました。金子教授,野邑特任教授より,当センターのこれまでのモンゴル国での活動についてご説明しました。大臣や局長は,かねてより私たちの活動について知っていてくださったそうで,今後も必要に応じて協力や支援をいただける旨の大変心強いお言葉をいただきました。

ナランバヤル教育大臣,ニャム・オチール教育総局長を囲んで
さらに,モンゴル心理士会バツク会長やモンゴル国立教育大学教育学部心理と方法論学科のガルサンジャムツ学科長との面談の機会をいただき,それぞれとモンゴルと日本における心理士の養成や活動の実情,モンゴル版田中ビネー知能検査の普及などについて意見を交換しました。

モンゴル心理士会バツク会長と

モンゴル国立教育大学教育学部心理と方法論学科ガルサンジャムツ学科長と
モンゴル国立教育大学のバトバータル学長にも新学期のお忙しい中,会談のお時間をいただきました。金子教授,野邑特任教授より,ここまでの活動に対する理解と支援へのお礼を述べ,学長からは当センターのモンゴルにおける活動への継続的な支援をお約束いただけました。

モンゴル国立教育大学バトバータル学長と
在モンゴル日本国大使館も訪問し,当センターの活動についてご説明するとともに,モンゴルの現在の情勢や,モンゴル国内で活動するにあたりとても貴重なご助言を賜りました。

在モンゴル日本国大使館にて伊藤書記官と
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンのモンゴル駐在員の野元様ともお会いし,今後のモンゴル国内での活動について意見を交換し,今後も情報共有や協力を続けていくことをお約束しました。

セーブ・ザ・チルドレンの野元様と
3月15-18日 ベトナム訪問
2023-03-20
3月15-18日の予定で、ベトナムのハノイ教育大学を訪問しました。
名古屋大学教育発達科学研究科とハノイ教育大学との間で、学術協定が締結されました。締結の式典には、本学からは、教育発達科学研究科の高井次郎副研究科長、心の発達支援研究実践センター永田雅子センター長等が、ハノイ教育大学からはNguyen Duc Son副学長、Dinh Minh Hang学長秘書室長、Phan Thanh Long特別支援教育学部長、Dinh Nguyen Trang Thu同副学部長等が参加しました。今後、発達障害児支援の共同研究を始めとして、様々な分野での協力が進展することが期待されます。



今回の訪問は、両大学の共同研究の協議が進められている、新K式発達検査ベトナム版の開発の協議も大きな目的のひとつです。今回、新K式の開発者である、平安女学院大学の清水里美教授、京都国際社会福祉センターの足立絵美研究員に同行いただきました。
清水教授には、「新版K式発達検査」というテーマで、新版K式発達検査の成り立ちから、検査の概要、開発に向けた助言まで、幅広い内容を分かりやすくご講演いただきました。
その後、日本側とベトナム側の研究担当者による、開発に向けた具体的な内容についての協議が行われました。今後、開発に向けてお互いに協力して進めていくことを確認しました。




