アジアにおける発達障害児支援研究Research

アジアにおける発達障害児支援研究

本センターの発達障害児支援研究プロジェクトの一環として、アジアにおける発達障害児支援研究を行っています。
主としてモンゴル国、ベトナムで活動を行っています。
モンゴル国では、2013年からモンゴル国立教育大学と学術協定を結んで共同研究を行っていて、2016年に同大学内に開設した「名古屋大学モンゴル国立教育大学子ども発達共同支援センター」が活動拠点となっています。現在は、モンゴル医科大学も含めた三者協働で、知能検査モンゴル版の開発・普及、発達障害児の疫学調査や児童精神科医養成研修プロジェクトなどを行っています。
ベトナムでは、ハノイ教育大学、ハノイ医科大学などと交流を続けています。ハノイ教育大学とは2023年に学術協定を結び、発達検査のベトナム版開発などの共同研究を進めています。

活動報告

3月15-18日 ベトナム訪問

2023-03-20

3月15-18日の予定で、ベトナムのハノイ教育大学を訪問しました。

名古屋大学教育発達科学研究科とハノイ教育大学との間で、学術協定が締結されました。締結の式典には、本学からは、教育発達科学研究科の高井次郎副研究科長、心の発達支援研究実践センター永田雅子センター長等が、ハノイ教育大学からはNguyen Duc Son副学長、Dinh Minh Hang学長秘書室長、Phan Thanh Long特別支援教育学部長、Dinh Nguyen Trang Thu同副学部長等が参加しました。今後、発達障害児支援の共同研究を始めとして、様々な分野での協力が進展することが期待されます。

今回の訪問は、両大学の共同研究の協議が進められている、新K式発達検査ベトナム版の開発の協議も大きな目的のひとつです。今回、新K式の開発者である、平安女学院大学の清水里美教授、京都国際社会福祉センターの足立絵美研究員に同行いただきました。
清水教授には、「新版K式発達検査」というテーマで、新版K式発達検査の成り立ちから、検査の概要、開発に向けた助言まで、幅広い内容を分かりやすくご講演いただきました。

その後、日本側とベトナム側の研究担当者による、開発に向けた具体的な内容についての協議が行われました。今後、開発に向けてお互いに協力して進めていくことを確認しました。

2月6-10日 モンゴル国訪問

2023-02-12

2月6-10日の日程で、モンゴル国に訪問しました
今回は、アジア共創教育研究機構融合プロジェクトによる「モンゴル国におけるこどものこころの専門家養成カリキュラムの開発」の一環として、モンゴル国の子どものこころの診療の現状把握と、現地関係者との協議を主たる目的として活動をしました。本学親と子どもの心療科の加藤秀一助教にも同行いただき、子どものこころ専門医の育成を行っている立場から、本プロジェクトへの助言・指導を行っていただきました。
まず、モンゴル国における精神科医育成の責任者であるモンゴル医科大学精神科ヒシゲ教授、オユンスレン講師との面談を行いました。モンゴル国における子どものこころ専門医制度について、モンゴル国の精神科医療の現状を踏まえながら、活発な議論が行われ、大枠について合意が得られました。

その後、いくつかの関連施設の視察をさせていただきました。
国立精神病院では、児童精神科外来および病棟を見学させていただき、児童精神科責任者のジェルンドルゴル先生から、モンゴルでの現状を伺うことができました。

日本モンゴル教育病院では、小児科の病棟・外来を見せていただき、小児科の先生からお話を伺いました。日本モンゴル教育病院は2019年に日本の援助でできた総合病院です。国立医科大学の付属病院の位置づけとして、教育や研究の場でもあり、先進的な医療機器も導入されているそうです。精神科は入っておらず、必要がある場合は国立精神病院に依頼をする、とのことでした。

国立母子保健センター(小児病院)は、小児専門の総合病院で33の診療科があります、
発達の遅れや偏りのある子どもは、小児神経科で診療を受けています。モンゴル各地から患者さんが訪れていて、家族や心理的な問題を抱えているケースも少なくないとのことでした。そうしたケースは、院内にある相談センターに紹介がされていました。

国立母子保健センター内の相談センターでは、心理職、社会福祉士などにより、院内外の相談を行っています。
院外からは、思春期の問題や虐待などの問題を持つケースが多く相談されています。5名のスタッフで年間3000-4000件の面接を行っているとのことで、大変お忙しい様子でした。ここには心理職が働いていて、心理的なアプローチを担当していましたが、精神科医は病院全体としてもいらっしゃらないとのことでした。

その後、モンゴル教育大学の先生方とも共同研究についての協議を行いました。
田中ビネー知能検査開発及び検査者養成研修会の開催、発達障害児の現状把握研究に加えて、子どものこころの診療を行う専門家育成プロジェクトも行っていくこととなり、今後もますます活発に活動を行っていきたいと思います。

12月13-16日 ベトナム訪問

2022-12-18

12月13-16日の日程で、ベトナム(ハノイ)を訪問しました。実質的な活動は2日間でした。
第1日目(14日)は、ハノイ教育大学を訪問しました。
最初に、ハノイ教育大学の先生方とお目にかかって、我々の活動についてご説明をしました。どの先生もよく理解して下さり、今後の共同研究の進展を応援するとのお話をいただきました。また、3月に両者で学術協定を結ぶことを決めて、手続きを進めていくこととしました。

午後は、ハノイ教育大学特別支援学部の先生方と研究に関する話し合いを行いました。まず、野邑特任教授から、我々が行ってきたモンゴル国での検査開発の話と、新版K式発達検査ベトナム版を開発することに関する検討点について、お話ししました。それを受けて、ベトナム側から質疑がなされ、対象とする年齢や具体的な方法について、検討が行われました。

11月30日 ギルバーグ教授とのオンラインミーティング

2022-12-01

11月30日に、スウェーデン ヨーテボリ大学のクリストファー・ギルバーグ教授とオンラインミーティングを行いました。ギルバーグ教授は世界的にも高名な児童精神科医であり、我々がモンゴル国立医科大学、モンゴル国立教育大学との三者で行っているモンゴル国における発達障害児の状況把握研究の共同研究者として、ご指導をいただいています。本研究では、ギルバーグ教授がこれまでに使用してきた質問紙調査ツールをモンゴル国で利用することに承諾いただき、ご助言をいただいています。今回のミーティングでは、調査を実施するにあたっての実際上の評価方法や診断検討の手順などについて突っ込んだ議論が行われました。本ミーティングは、高知ギルバーグ発達神経精神医学センターの協力を得て行われました。

モンゴル訪問報告

2022-11-24

10月26日から31日に、モンゴル国立教育大学教員養成学部およびモンゴル国モンゴル国 国立医科学大学を訪問しました。本センターの永田センター長、野邑特任教授、横山特任助教の他に、本学医学部保健学科作業療法専攻の佐野美沙子助教にも同行いただきました。

今回の訪問期間中、モンゴル国立教育大学教員養成学部の開設100周年記念イベントが開催されました。

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モンゴル国 国立医科学大学から「国立医科学大学 80周年名誉勲章」が授与されました。 「国立医科学大学80周年名誉勲章」は、国立医科学大学80周年を記念し、モンゴルに おける教育、科学、医療分野で著しい功績を上げたことを評価し授与される勲章です。

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モンゴル訪問報告

2022-06-16

2022年6月6日から10日に、心の発達支援研究実践センター教員3名が、モンゴルを訪問しました。

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モンゴル国立教育大学学長O.ALTANGOOと会談。

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田中ビネー知能検査モンゴル版検査者養成研修会

「田中ビネー知能検査モンゴル版」完成披露式典

2020-11-05

名大トピックスに掲載されました。

» 名大トピックス No.328(PDF)

    10月19日付け毎日新聞朝刊に掲載

    2020-10-19

    モンゴル初の知能検査(ビネーモンゴル版)開発についての記事が掲載されました。

    » 新聞記事(PDF)

    モンゴル国の研究成果が掲載されました。

    2020-09-07

    「日本の研究.com」(バイオインパクト)にて、 下記の研究成果が掲載されました。
    『モンゴル国で初めての子どもに対する知能検査の開発 ~ アジア発達障害児援研究 ~』
    https://research-er.jp/articles/view/91729

    ベトナム 国際会議への出席(2019年11月28日〜29日)

    2019-12-25

    ベトナム教育省が主催した国際会議(The 2nd International Conference: Education for Students with Developmental Disorders)で発表をするため、心の発達支援研究実践センターの教員がハノイに訪問しました。センターとしてベトナムに訪問するのは、2018年11月、2019年3月、同年10月に続き、4回目となります。
    今回は、”Students with special needs in Japan: Developmental disorders underlying maladjustment”という演題で、日本での現状と、我々の取り組みについて発表しました。日本での文部科学省が実施した発達障害児に関する全国調査の結果を紹介し、我々の取り組みからは、自治体の5歳児健診を受診した子ども達について、5年生になったときの追跡調査の結果を報告しました。そして、発達障害児に対するサポートのあり方について、検討を加えました。本会議には欧米をはじめ、アジア諸国からも多数の国々から参加があり、2日間にわたって多数の演題が組まれていました。また、他国の研究者とも意見交換を行うことが出来ました。今後も、情報交換を積極的に行い、共同支援研究に繋げていきたいと考えています。

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